憧れの田舎暮らしの恐怖 玄関置かれた野菜は倍返し。村長親戚経営のスタンド以外で灯油買うと村八分
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憧れの田舎暮らしの恐怖 玄関置かれた野菜は倍返し。村長親戚経営のスタンド以外で灯油買うと村八分
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180816-00232656-toyo-soci&p=3
移住して6年目、長女が小学校を卒業するときだった。周囲に突然、不穏な空気が漂い始めた。
「誰の金で生活できたと思ってやがるんだ」「俺たちの金で海外に行きやがって」
やり玉に挙がったのは、長女の修学旅行である海外研修旅行の件だった。かの地では、姉妹都市を結ぶ海外に、小学生の卒業旅行で行くのが恒例行事だった。
小学校入学と同時にかの地に越してきた長女にとっては、まさにその小学校と集落が故郷同然。海外とはいえ、修学旅行に参加するのは当然だと思っていた。
しかし、過疎化の進んだその移住先には、すでに中学校がなくなっていた。
集落から中学校に通う者は、早朝5時、6時には自宅を出て、本数の極めて限られたバスに乗るか、あるいは毎朝、家族が10キロ以上離れた場所まで送らなければならない。
「冬場は氷点下10度くらいいくこともざらな寒い場所ですから。さすがに中学生の通学でそれだけの負担を強いるのはかわいそうだなと思って。それで、中学校がある佐久市内に越すことに決めたんです」
それが、集落住民らの怒りを買ったのだ。だが、怒りの矛先は高藤さん家族が引っ越すこと、そのものではないようだった。
「娘の海外への修学旅行の金は、もともとは俺たちの税金だろうって。それを返せって。出て行くくせに海外への修学旅行に行きやがってって、それが気にくわなかったらしいんです」
◇
仕事から帰ってくれば、玄関前には収穫物のおすそ分けが置かれていたりする。
「白菜ひとつとっても、野菜に名前が書いてあるわけじゃないから、その日のうちに誰が置いていってくれたのかを大捜索して、その後は菓子折を買ってお礼参りですよ。
そんなときも、明らかにもらったものよりも上乗せしたものを持っていかないといけないわけです。下手に野菜だとかおすそ分けなんかもらうと、そのお返しばかりでもう大変な出費でした」
◇
私がいた集落は常々、村長派と反村長派で村が二分していて、道路を挟んで、やれこっちに住んでいる者は村長の親戚が経営するガソリンスタンドから灯油を買わなければだめだとか、あそこの業者は反対派だから使うなとか」
しかし、灯油もガソリンも値段の表示さえない場所である。極めて高くつく。
「30キロ近く離れたホームセンターに灯油缶を持っていって買ってきたほうが安いくらいですから。
でも、それを見られると突き上げられるので、夜中に寝静まった頃にこっそり、自宅のなかで電気を消したまま、ホースを延ばして、外の灯油タンクに移すんです。
真冬なんてマイナス10度以下ですよ。凍えるうえに、バカバカしくなりますよ」
「遠くのイオンモールのショッピングバッグを家に運び込んでいるのが目につこうものならば、わざわざ自宅の戸をたたいてまで、生活用品は農協の店で買え、ですからね。
もちろん、事情はわかりますが、イオンで90円のものが、過疎地の農協直営店では150円ですから。都会での会社勤めのときよりも収入が減っているのに、生活コストだけが倍になったら、やっていけませんよ」